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LHDの高温プラズマ物理研究の課題

核融合炉心に必要される平均ベータ値(5%以上)を実現するために、高温プラズマの磁場閉じ込め特性の解明が必要。
 
LHDプラズマ形状が完全な回転対称性を持たないため、その研究には2次元ないし3次元的な情報が必要。
 
LHDプラズマの特長である定常運転時の大容量のデータにも適合したデータ収集システムが必要
 
  • LHD装置では、左図に見られるように2対のヘリカルコイルと3対のポロイダルコイル、さらにローカルアイランドダイバータ用コイルと呼ばれる補助コイルによって、様々な閉じ込め磁場配位を作ることが可能です。極端な例としては、プラズマ内部にセパラトリックスを持つ8の字形の磁気面を持つ磁場配位も作ることが出来ます。このような外部磁場コイルを用いた磁場配位の変化に加えて、プラズマを加熱することによって発生する自発的な電流(ブートストラップ電流)やプラズマの加熱源であるNBIやECHによる駆動電流などによって、多様な平衡磁場配位が形成されます。これらの磁場配位とプラズマ閉じ込め・MHDとの関わりを明らかにしていくことによって、核融合炉心プラズマに必要とされる平均ベータ値(5%以上)を実現することを研究目標の一つとしています。
     
  • 核融合実験装置の性能は、プラズマ閉じ込め時間(τE)と呼ばれる量から評価されます。装置内部にWのエネルギーが蓄えられるまでプラズマを加熱しその後加熱を切ったときに単位時間に失われるエネルギーがW/τ となるようなτがほぼ閉じ込め時間τEと呼ばれるものに相当します。プラズマに蓄えられるエネルギーはプラズマ圧力(温度Tと密度nの積)をプラズマ全体で積分することや、プラズマの反磁性磁場の計測からも評価する事ができます。これら三つの値(n,τ,T)が大きいことが優れた核融合装置としての条件です。高い閉じ込め性能を得るためには、この閉じ込め性能に影響を与える様々な現象を観測することが重要になります。閉じ込め性能を良くするためにLHDでは、プラズマの温度、密度などの基本パラメータに加えて、(a)プラズマ内部の不純物や中性粒子の量、(b)磁場やプラズマ密度の揺動、(c)放射損失や粒子損失の量、(d)電場の分布やプラズマの回転などの様々な物理量を詳細に計測しています。
     
  • LHDの計測器はプラズマの温度や密度やその他の様々な測定対象の大きさを一つの種類の計測器だけでなく、様々な計測器で計測しています。それぞれの計測器には特長があり、一つの量をいろいろな方法で測定することにより互いの長所を活かすことができるからです。例えばトムソン散乱計測装置はプラズマの温度の空間分布を高い空間分解能で計測するのに優れていますし、電子サイクロトロン輻射計測器は優れた時間分解能でプラズマの温度の時間発展を計測するできるという具合です。又、軟X線波高分析装置では電子のエネルギー分布を直接計測することが出来ます。
     
  • また当然、プラズマの温度や密度は中心部と周辺部では違っています。核融合装置では、閉じ込められているプラズマの温度や密度の分布を詳しく知ることが重要です。そこでLHDの計測では、特に空間分布の計測に力を入れています。電子の温度分布計測を例に取りますと、レーザーをプラズマ中に入射し、電子によって散乱(トムソン散乱)されたレーザー光が電子との相互作用によりドップラーシフトを受けるので、プラズマの外に出てきた散乱光を分光計測し、波長広がりから電子温度を算出できます。これはトムソン散乱計測と呼ばれます。測定したい場所の電子温度を直接計測することができるのが特徴です。
     
  • LHD装置には、左端にあるDiagnostics for LHDをクリックしていただくとご覧いただけるように、多くの計測器が取り付いています。これらの計測器により得られた情報をもとに解析を行い、LHDプラズマの特長を理解して、より良いプラズマ閉じ込めの実現に貢献して行きたいと考えております。

 

居田 克巳

(高温プラズマ物理研究系主幹)